労働力不足と生成AIの関係は?

 先の共同研究では基本的に2023年までの各種統計を基に推計を行っている。他方、生成AIとして広く知られているChatGPTは2022年11月に公表された。他社の生成AIも含め、拡大していったのは2023年に入ってからであり、その影響は必ずしも各種統計に反映されているわけではない。そのため、その情報を基に行った推計においても、生成AIの影響が適切に反映されていると考えることは難しい。

 共同研究では、生成AIのもたらしうるポテンシャルを別途試算している。試算の際に問題となるのは、生成AIによって、この先、労働生産性がどの程度伸長するかに関する見通しだ。この点について、生成AIの活用が進んだ場合、労働生産性の成長率を年0.1〜0.6%底上げするポテンシャルを秘めているとするレポート*1がある。この値を用いて労働力不足へのポテンシャルを試算した結果が、図表2だ。

【図表2】 生成AIがもたらしうる省力化ポテンシャル

出所:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035」
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 成長率の底上げ幅が最も小さい年率0.1%の場合には、労働生産性の向上によって1日当たり398万時間相当の省力化が見込まれる。他方、年率0.6%では1日当たり2450万時間の省力化が見込まれている。これらの中間となる年率0.35%の成長率では、1日当たり1410万時間の省力化が見込まれる。

 試算結果には大きな幅があるが、生成AIの技術的な動向や、それを受けてなされる投資の動向などを考えると、うなずけるものがあるのではないだろうか。

 では、具体的に生成AIの影響を受けやすい職種はなんだろうか。