トランプ大統領になったら、何と言うか

 クリテンブリンク氏の見解は、現時点でのバイデン政権の「アジア版NATO構想」に関する正式見解であり、ハリス政権ができれば、間違いなく踏襲される見解でもある。

 おそらく、岸田氏が訪米した際にバイデン政権高官から石破氏の提唱する同構想について質されたと見ていい。

 岸田氏が帰国後、石破氏にこの点について電話で問い質したといった未確認情報がある。

 これによると、石破氏は「今すぐどうの、こうの、というものではない。中長期的に論議を始めるのもいいだろうということだ」と答え、岸田氏は総裁選で石破氏を支持することを再確認したという尾ひれがついている。

 では、トランプ氏が大統領再選されたら、石破氏の「アジア版NATO」構想にどんな見解を示すだろうか。

 ワシントンの外交通の一人は、吐き捨てるようにこう言う。

「トランプ氏はNATOからの脱退すら主張している御仁だ。アジアにNATOを作ると聞いたら、F○○k you!(ふざけるな!)と言うだろうよ」

 米国でも(外交国防専門家の間では)石破氏の理路整然とした政策説明には定評がある。

 それだけに右翼ナショナリストとは、一線を画す保守穏健派の石破氏の持論であるアジア版NATO構想には関心が集まっている。

 来年1月か2月の「ハリス・石破首脳会談」で石破氏はどう切り出すのか、興味津々だ。