米国から見た日本の新首相:石破理論には賛同しつつアジア版NATOは時期尚早
ほぼハリの様相を強める米国、岸田・バイデン体制の継続は既定路線に
2024.10.1(火)
高濱 賛
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退陣直前、菅、岸田ともにクワッド出席
岸田文雄首相が退陣直前という異例のタイミングで米国を訪れた。
(実は菅義偉氏も2021年9月、退陣直前に訪米し、クワッド=日米豪印首脳会議に参加した。安倍晋三首相から受け継いだ対米路線を継承し、さらに推し進め、これを次の政権も着実に受け継ぐことを米側に公約する狙いがあった。今回も岸田氏はそれを狙ったものと思われる)
岸田氏は、訪米の理由についてこう述べた。
「在任中、日米豪印の取り組みを一貫して重視してきた。首相として最後の外国出張において(米国で開かれた)クワッド首脳会議に参加するのが最もふさわしいと考えた」
首相が日米豪印首脳会議に出席するのはオンラインも含め4回目。2021年の就任以降、強固な日米関係をテコに、同盟・同志国のネットワーク拡大に注力してきた。
覇権主義的な動きを強める中国と対峙するためには、インド太平洋地域で米国の関与が欠かせないとの判断があった。
その基盤を築くため、菅氏も岸田氏も日米同盟の強化に全力を注いできた。
安全保障面で日本側の役割拡大を求める米側の意向を踏まえ、岸田氏は防衛費増額のための増税を決断し、自衛隊と米軍の指揮統制の連携向上も図った。
米ブルームバーグのアジア問題専門コラムニスト、ゲロイド・リーディ氏は岸田氏をこう評した。
「岸田氏は国際舞台で高く評価された首相として記憶に残るだろう」
「国内的には自民党のスキャンダル(自分自身が起こしたのではないのに)で退陣に追いやられた」
(bloomberg.com/japan-s-new-pm-shigeru-ishiba-made-his-career-as-an-anti-abe?)