ニューヨークで開かれた2024年米大統領選の副大統領候補討論会、左が共和党のバンス氏で右が民主党のウォルズ氏(10月1日、写真:AP/アフロ)

「認知力低下のトランプ」は蚊帳の外

 米大統領選に向け、民主党のティム・ウォルズ・ミネソタ州知事(60)と共和党のJ.D.バンス上院議員(40)の両副大統領候補によるテレビ討論会が10月1日(日本時間2日午前)に開かれた。

 2人の初の直接対決は全米に生中継された。

 討論会はイランによるイスラエル攻撃を受け、外交政策から議論が始まった。

 ウォルズ氏は「我々はイスラエルと共に攻撃を阻止した。着実な指導力が必要だと示した」と強調した。

 これに対して、バンス氏は「トランプ氏が効果的な抑止力で世界に安定をもたらしたのを忘れてはならない」と指摘するなど、ジャブの応酬から始まった。

 そして、経済、インフレ、移民、住宅、医療、育児、人工中絶、気候変動、民主主義の危機など論戦は多岐にわたった。

 副大統領候補であるため、双方はカマラ・ハリス、ドナルド・トランプ両大統領候補の発言を援護する立場にあったのは言うまでもないが、バンス氏はしばしばトランプ擁護に苦しむ場面が目についた。

 テレビの前で筆者と一緒に討論を視聴した主流メディアのベテラン・ジャーナリストはこうコメントした。

「総じて、近年稀に見るがっぷり四つに組んだ充実した対話だった」

「バンス氏は、まさにトランプというハンデを背負って苦しげだったが、時には『我が共和党は・・・』と言い換えて持論を貫く場面も目についた」

「その意味では、今回の大統領選はともかくとして、将来に向けた大統領候補の片鱗を滲ませていた」