ハリス氏が話している際にトランプ氏の無表情が目立った(9月10日、写真:AP/アフロ)

トランプの嘘とトレトリックを激しく批判

 11月の米大統領選に向けた選挙戦の山場となるテレビ討論会が9月10日(日本時間11日)、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた。

 民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)と共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)はこれまで対面で話したことがなく、文字通りの「初顔合わせ」となった。

 トランプ氏は2021年に退任する際、慣例を破ってジョー・バイデン大統領(81)の就任式をボイコットしたため、副大統領に就任したハリス氏とは顔を合わせなかった。

 ハリス氏は、民主党大統領候補に正式指名されてからまだ19日目。

 その間、高齢問題を抱えて支持率でトランプ氏に終始リードされていたバイデン氏に代わって表舞台に躍り出て「ハリス旋風」を巻き起こし、トランプ氏を圧倒した。

 支持率でも追いつき追い越した。

 だが、ここにきて「ご祝儀人気」もやんで、9月7日のニューヨーク・タイムズ/シエナ共同世論調査(以下、ニューヨーク・タイムズ世論調査)では48%対47%でトランプ氏に巻き返されていた。

 これを受けての10日の討論会だった。

 主要メディアのキャスターや政治専門家の評価は「ハリス氏圧勝」だった。

 彼らは、東部、西部のエリート。保守、リベラルに変わりなく一流大学卒。高等教育を受け、国内外の情報にも精通している。

 クリティカル・シンキング(Critical Thinking=批評的思考)においても論争力においても優れている。

 その意味では、トランプ氏の無手勝流の発言や両面通行できないやりとり、事実認識の欠如には違和感を持っており、ハリス氏の理路整然とした発言には違和感はない。

(NHKでも同時中継されたから読者の諸兄姉もご覧になったに違いない。生のトランプ氏を見聴きして、米国のキャスターたちの評価に賛同する方も少なくないと思う)