TV討論会でトランプを圧倒したハリス、でも支持率に直結しない理由とは
根強い「人種・女性差別、低学歴、中西・南部の白人男のハリス嫌い」
2024.9.11(水)
高濱 賛
フォロー
フォロー中
筆者と一緒にテレビを見た米国人ジャーナリストW氏と、討論会終了後、話し合った感想はこうだ。
一、注目したのはトランプ氏の顔の表情だった。
ハリス氏が喋っているときは全くの無表情。時々目を見開くが、バイデン氏との討論会の時のように(側近にアドバイスされたためだろうが)一切の反応を示さない。口を閉じたままだ。
二、というよりも、ハリス氏の発言は一切聞いていないようにも見られる。自分の番になったら言うことだけを考えているかに見える。
だからモデレーターから「イエス、ノー」で答えを求められてもはぐらかす。
三、経済問題を聞かれても、外交問題を聞かれても、答えは「年間1100万人流入した移民」の話を持ち出し、「そのうち300万人はテロリストと犯罪者」という発言を再度持ち出す。
(「移民の中には米国人が飼っていた犬、猫を食べた者もいる」といった未確認情報まで飛び出した。関係当局は否定している)
四、これらの発言は遊説の際に支持者の前で話してきた「くたびれたレトリック」(ハリス氏)で、メディアが当局にチェックして嘘だったことが分かっているのに公然と繰り返していた。
五、検察官、カリフォルニア州司法長官、上院司法委員会委員という「法と秩序」を守るための理論構成を展開するハリス氏とは全くかみ合わない茶番劇でしかなかった。
この討論会は政策論争ではなく、大統領候補の品格、知識、経験を有権者に見せるテレビ・エンターテインメントだった。
六、それよりも、トランプ氏の高齢問題、精神的、肉体的減退状況が今回露呈したことで、大統領選の行方はどうなるか。
(討論会に先立ち、トランプ氏の姪で臨床心理学者のメアリー・トランプ博士は、遊説での一連の言動を知り、「明らかに現実からかけ離れた状況にあり、精神障害に罹っている」と「診断」している)
(thedailybeast.com/trumps-psychologist-niece-mary-says-donald-is-dementing)