
トランプ政権が関税をディールの武器にして諸外国に揺さぶりをかけています。輸入車に25%の関税をかけると表明すると、日本でも自動車など輸出関連株が大きく下落しました。トランプ関税は今後、マーケットにどんな影響を及ぼしていくのでしょうか。三井住友DSアセットマネジメント・市川雅浩チーフマーケットストラテジストに話を聞きました。
(河端 里咲:フリーランス記者)
>>(後編を読む)日経平均4万円突破には何が必要?トランプ関税の動向だけではない、日本株に追い風を吹かせる要素とは
25%関税ならかなりのインパクトだが…
——トランプ氏が大統領に就任し1カ月が過ぎました。この間の国内株式市場の推移をどのように分析していますか。
市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト:現状の国内株式市場は、トランプ政権の関税政策がどうなるかを見極めている段階です。日経平均株価は昨年9月下旬からおおむね3万8000〜4万円のレンジ相場が続いています。大きく崩れもしない一方、トランプ政権による関税政策への警戒感が強く、買い上がっていく展開にはなっていません。

日系・米系銀行で、株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を長く担当。現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。三井住友DSアセットマネジメントのウェブサイト「市川レポート 経済・相場のここに注目」にて日々レポートを掲載中。
——トランプ米大統領が輸入自動車への追加関税を25%程度にすると発言し、2月20日の日経平均株価は一時前日から600円以上値下がりしました。
市川氏:トランプ氏の発言により、自動車など輸出関連株が崩れました。実際に25%程度の関税となれば、自動車関連企業は競争力低下に追い込まれ、業績にもかなりのインパクトが出る恐れがあります。日本の米国向けの輸出総額のうち、自動車輸出が約3割を占め、日本株への影響が懸念されます。
ただ現状は一律に関税率を高めるのか、どの国のどの自動車に限るのかなどの詳細は出てきていません。
——関税政策全般の動向がどうなるかわからないので、マーケットは様子見の状況ということですね。