
トランプ米大統領の言動が世界のマーケットを揺るがしています。2月10日には新たに全ての鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課すと表明。トランプ政権が世界のマーケットを大きく動かすなか、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「日本企業にとっては中国などの報復関税がリスク」と指摘します。トランプ政権の政策から考える今後の金融市場や日本株への影響について聞きました。
(河端 里咲:フリーランス記者)
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「関税」で一進一退の株式市場
——第2次トランプ政権がスタートしました。就任してからのマーケットの動きをどのように見ていますか。
藤代宏一・第一生命経済研究所主席エコノミスト:1月20日の就任演説で関税の即日実施が見送られたため、当初警戒されていたより第2次トランプ政権は穏健と見られ、就任後の相場の大荒れは見られませんでした。

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ところが、演説後の大統領執務室で「2月からメキシコとカナダに関税を検討している」と発言。撤回しないまま1月末を迎えたため、直前に焦った投資家たちが動き、2月3日の東京株式市場で日経平均株価は4営業日ぶりに反落、前週末から1052円安で取引を終えるなどの反応が見られました。
結局、カナダやメキシコへの関税は延期となり、ひとまずは脅しだったという安心感が漂っています。ただ2月10日には鉄鋼・アルミニウムへの関税引き上げが表明されたほか、今後カナダ・メキシコ、中国、欧州連合(EU)などに対して様々な関税の引き上げが実行されていくことが考えられます。しばらくは関税政策の動向が株式市場の中心テーマになるでしょう。
——関税引き上げによる日本株への影響は。