
トランプ米大統領の言動が世界のマーケットを揺るがしています。今後、トランプ大統領がドル高を是正する「プラザ合意2.0」があるのではとの見方もあるなか、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「現実的には難しい」と指摘します。トランプ政権の政策から考える今後の金融市場や日本株への影響について聞ききました。
(河端 里咲:フリーランス記者)
>>(前編から読む)【どうなる日本株】トランプ関税による米国のインフレ圧力は限定的、日本株にとって怖いのはむしろ中国の報復関税
「関税→米インフレ再加速→円安」だけではない
——関税政策の為替への影響をどう見ていますか。
藤代氏:関税引き上げは米国でインフレ再燃が懸念される一方、個人消費の下押しや企業の投資活動の抑制などを招く可能性があります。さらに報復関税が課せられれば、米経済の成長率に下押し圧力がかかります。

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リスク回避で円が買い戻される性質も踏まえると、「関税→インフレ再加速→米国の利上げ→日米金利差拡大→円安」という一方向だけの経路は想定しづらく、急激な円高・円安は考えにくいと見ています。日米金利差は4%程度が続き、1ドル=150〜160円あたりのレンジが長く続いていくのではないかと予想しています。
——トランプ氏はドル安志向だと言われています。