為替は今後どう動く?(写真:ロイター/アフロ)

トランプ米大統領の言動が世界のマーケットを揺るがしています。今後、トランプ大統領がドル高を是正する「プラザ合意2.0」があるのではとの見方もあるなか、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「現実的には難しい」と指摘します。トランプ政権の政策から考える今後の金融市場や日本株への影響について聞ききました。

(河端 里咲:フリーランス記者)

>>(前編から読む)【どうなる日本株】トランプ関税による米国のインフレ圧力は限定的、日本株にとって怖いのはむしろ中国の報復関税

「関税→米インフレ再加速→円安」だけではない

——関税政策の為替への影響をどう見ていますか。

藤代氏:関税引き上げは米国でインフレ再燃が懸念される一方、個人消費の下押しや企業の投資活動の抑制などを招く可能性があります。さらに報復関税が課せられれば、米経済の成長率に下押し圧力がかかります。

藤代 宏一(ふじしろ・こういち) 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト。2005年に第一生命保険入社、2008年 みずほ証券出向。2010年 第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向。2年間経済財政白書の執筆、月例経済報告の作成に従事。2023年4月より現職、金融市場全般を担当
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 リスク回避で円が買い戻される性質も踏まえると、「関税→インフレ再加速→米国の利上げ→日米金利差拡大→円安」という一方向だけの経路は想定しづらく、急激な円高・円安は考えにくいと見ています。日米金利差は4%程度が続き、1ドル=150〜160円あたりのレンジが長く続いていくのではないかと予想しています。

——トランプ氏はドル安志向だと言われています。