2024年8月1日、厚生労働省はアルツハイマー病の新しい治療薬であるドナネマブを承認した。2023年10月にも、厚生労働省は同病治療薬・レカネマブを承認している。
レカネマブ、ドナネマブの登場により、アルツハイマー病治療は劇的に変化すると語るのは、認知症専門医の伊東大介氏(慶應義塾大学医学部特任教授/慶應義塾大学病院 メモリーセンター長)だ。
2つの新薬がアルツハイマー病治療に及ぼす影響とは何か、将来的にアルツハイマー病治療はどうなっていくのか。『認知症医療革命 新規アルツハイマー病治療薬の実力』(扶桑社)を上梓した伊東氏に話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター)
──認知症予防のため、日常生活の中でできることを教えてください。
伊東大介氏(以下、伊東):世界五大医学雑誌の一つである英国の『ランセット』誌の委員会は、認知症発症のリスクとなりうる14の項目を提示しています。この14項目について若いころから対策をしておくことで、認知症の45%の発症を予防・進行を遅延させることが可能と言われています。
具体的には、喫煙やアルコールの摂取、糖尿病、高コレステロール血症、肥満などです。こういった生活習慣の改善や疾患の予防をしておくことで、将来、認知症になるリスクを低減させることができると言われています。
認知症はさまざまな病気で発症します。一番頻度が多いのはアルツハイマー病で、認知症全体の6~7割を占めます。他にも、脳卒中を繰り返すことで発症する脳血管性認知症や、頭部に強い打撃を受けたことによる脳の損傷が引き起こす頭部外傷性認知症などがあります。
重要なことは、『ランセット』誌の委員会が提示した14項目は、すべての種類の認知症予防に有効であるという点です。今からすぐにできるようなことばかりですので、是非、若い人も含めて取り組んでいただきたいです。
──家族や介護者が「この人は認知症かもしれない」と感じた場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか。