
売り上げと利益の最大化には「ブランド力」が欠かせない。ドイツのフェイラー、米国のエディー・バウアー、フランスのロクシタンなどの市場戦略を手がけた野本明氏がブランド創出の極意を数式を用いて解説する。(野本明:経営コンサルタント)
※この記事は、『利益を出すために重要な24の数式』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集しました。
ブランド・ロイヤルティを実現する付加価値
顧客とブランドとの主な接点は3つあります。まず、商品そのもの、接客、そして告知です。顧客はそれぞれと触れてブランドへの満足を感じます。すべての接点で高い満足を得た場合、顧客はブランドを信頼し、使い続けます。これがブランド・ロイヤルティです。ブランド力である心の絆はここに具現化するのです。

市場には、通常より高い値付けでも売れている商品があります。価格を上乗せしてもそれが付加価値として認められているという何ともうらやましい商品です。その「上乗せされた価格」をプレミアムプライスと言います。
商品原価が同じでも、マークアップに上乗せできる額が大きいのです。そして付加価値があるから割引き・値引きに頼らずに販売できる。その付加価値こそがブランド・ロイヤルティです。
どんなブランドでも商品や告知、接客には基準があり、大きく変わるわけではありません。その中で付加価値とは何によって出てくるのでしょう。それが「ブランドの本質=創業者の世界観」を共有することで生まれる「ブランド力=心の絆」であることは明らかです。
これが各接点での対応を支える基盤になっていれば、差別化できて付加価値を生むことができるでしょう。しかし、創業者の世界観をすべての相手に詳しく説明するということも現実的には不可能に思えます。
ブランドの本質を伝えるためには「伝える順序を守る」ことが大事だと説明しました。そこでもうひとつ大事なことが「ストーリー」として伝える、ということです。目指す世界観を簡潔にわかりやすく伝えるための方法です。