エディー・バウアーでは創業者の世界観が何よりの強みだった(写真:AP/アフロ)エディー・バウアーでは創業者の世界観が何よりの強みだった(写真:AP/アフロ)

 売り上げと利益の最大化には「ブランド力」が欠かせない。ドイツのフェイラー、米国のエディー・バウアー、フランスのロクシタンなどの市場戦略を手がけた野本明氏がブランド創出の極意を数式を用いて解説する。(野本明:経営コンサルタント)

※この記事は、『利益を出すために重要な24の数式』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集しました。

ブランドと利益の関係

 粗利益率が高いと自然に最終利益率も高くなります。ブランドを長く繁栄させる基盤は利益であり、そのために強いブランドを創り続けるという図式です。ブランドは決して抽象的なイメージのために存在するのではなく、長期的な経営戦略の中心としての存在であるべきです。

 この考え方は決してラグジュアリーブランドだけのものではありません。アップルのように、量販店でもマークダウンせずに販売できる例は多くあります。ブランド価値を高めるために多くの努力もしているはずで、その結果がブランド価値を作り高い粗利益を取れるようになっているのです。

 確かにラグジュアリーブランド商品は高価であり、製造数も少ないため粗利益が高くなりやすいことはあります。ファッションアパレルのようにシーズンごとにどんどん新製品が出て、しかも品数も生産量も多いとなると、粗利益を高く保つ難易度は上がります。しかし、そのような商品でも高い粗利益は実現できます。

 グローバルブランドに比べて日本企業はブランドの価値を高い粗利益につなげるという部分にはまだまだ可能性が残されていると感じます。