レカネマブやドナネマブは既存薬と何が違うか?

伊東:認知症の典型的な症状として記憶障害が挙げられます。歳を重ねると、記憶がおぼつかなくなることは当然です。「年相応の物忘れ」であれば、忘れてしまったことに関してヒントをあげると思い出すことができます。その程度でしたら、心配はいりません。

 けれども、認知症の記憶障害はヒントを出しても思い出すことができません。もしくは、忘れてしまったことを教えても全く憶えていない。こういった場合は、認知症である可能性が高いので、受診をお勧めします。

──受診の目安はありますか。

伊東:アルツハイマー病については、昨今、レカネマブやドナネマブといった新薬が承認されています。この2つの新薬は、アルツハイマー病の早期の段階の患者さんに高い効果を発揮します。

 アルツハイマー病の早期治療が現実的になりつつあるのです。アルツハイマー病は、早期治療が非常に重要だと私は思っています。

 ですから、ちょっとおかしいなと思ったら、速やかに認知症専門医を受診し、アルツハイマー病の診断が下りたら早期に治療を開始しましょう。

──レカネマブやドナネマブは、従来のアルツハイマー病治療薬と比較して、何が違うのでしょうか。

伊東:既存薬とレカネマブ、ドナネマブの大きな違いは「アルツハイマー病の進行を抑えられるか否か」という点です。