一番高い部分を工事の最後に回すのはわかる。しかし、現地に行って知ったのだが、もう1つ、重要な部分の工事が残っていた。3つの正面のうちの1つ、「栄光の正面」だ。現在の「栄光の正面」部分は、こんな味気ないオフィスビルのような外観となっている。

ガイドブックでは見ることのない南東側。ここに「栄光の正面」がつくられる

 えっ? 正面入り口はまだできてなかったのか。だから、どのガイドブックにも載っていないんだ。

 東京国立近代美術館の展覧会図録を注意深く読むと、こう書かれていた。

「サグラダ・ファミリア建設委員会は現在、ガウディ没後100年にあたる2026年に十字架を載せたイエスの塔を完成させることを予定している。その後は、栄光の正面(大正面)の建設が最大の目標となる」。

 えええっ? 2026年に全体完成じゃなかったのか……。急いでバルセロナに行かなくても、未完成は当分、味わえたのである。

地下の展示室に飾られていた「栄光の正面」の模型写真

 サグラダ・ファミリア聖堂の身廊周辺の地下には巨大な展示室があって、東京の展覧会に勝るとも劣らない充実した資料が展示されている。だが、栄光の正面については、残された模型写真を見ても、どんなものなのかよくわからない。自分の目の黒いうちに実物が見られることを信じて、気長に待つことにしよう。