日本で生まれ育った在日コリアン3世の韓光勲(はん・かんふん)氏が、新聞記者を経て30歳で韓国に留学した。初めて腰を据えて生活する韓国は、驚きと発見に満ちた国だった。韓国をルーツとする筆者が「異国人」の目で等身大の韓国を伝える。(JBpress)
◎本記事には、映画『文在寅です』の内容、あらすじに関する記述が含まれますのでご留意ください。
おそらく今しか見られない映画
韓国のドキュメンタリー映画『文在寅です』を見に行った。元駐韓大使の武藤正敏さんが書かれていた記事を読んで興味を持ったのと、中央日報の調査報道(5月24日)によって、文在寅の任期中、映画製作に1億ウォンの支援を受けていたというニュースを読んで、見たいと思ったのだ。こんなきな臭い映画、見に行かないわけにはいかない。
というのも、筆者は元来、ドキュメンタリー映画が好きなのである。他媒体では映画を紹介する記事を多く書いてもいる。原一男の『ゆきゆきて神軍』(1987)は何度見ても傑作だと思うし、ジョシュア・オッペンハイマーの『アクト・オブ・キリング』(2014)には戦慄したし、最近だと、森達也の『FAKE』(2016)は「耳が聞こえない作曲家」(だったはずの)佐村河内守が豆乳をガブガブと飲むシーンがとても面白くて興奮した思い出がある。
興行としては大コケしているらしいし、公金が入っていたことも明らかになったので、もしかしたらソフト化もされずお蔵入りになるかもしれない。作った側としても恥ずかしいからだ。製作陣にとっての黒歴史になるしね。
今しか見られない作品を映画館で見ること。映画好きの僕が長年大事にしているモットーだ。おそらく今しか見られない映画『文在寅です』を見ることにした。