
(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)
読者が選ぶ名馬にランクインした牝馬たち
中央競馬ピーアール・センター発行の月刊誌『優駿』2024年9月号が私の手元にありますが、この号では読者投票による「未来に語り継ぎたい名馬100頭」が掲載されています。
ご覧になっていない方のためにベスト10をご紹介すると、1位から順に、①ディープインパクト(2002年)、②イクイノックス(2019年)、③オグリキャップ(1985年)、④オルフェーブル(2008年)、⑤アーモンドアイ(2015年)、⑥サイレンススズカ(1994年)、⑦トウカイテイオー(1988年)、⑧ナリタブライアン(1991年)、⑨ウオッカ(2004年)、⑩キタサンブラック(2012年)、となっています。なお、( )内は誕生年です(以下同様)。
10年前の2015年にも同じ企画がありましたが、今回新たにベスト10入りした馬は、イクイノックス、アーモンドアイ、キタサンブラックです。実績から見て妥当なニューフェイスでしょう。
ベスト10内にランクインしている牝馬は5位のアーモンドアイと9位のウオッカの2頭です。10位以下は、牝馬に限れば15位にソダシ(2018年)、26位にダイワスカーレット(2004年)、28位にジェンティルドンナ(2009年)、30位にエアグルーヴ(1993年)と続きます。
読者選出のこうした投票結果は、得てして近年の馬が実績以上に評価されるのは競馬に限らずスポーツの世界ではままあることなので、実績で優るダイワスカーレットやジェンティルドンナ、エアグルーヴといった男勝りの牝馬よりも、2023年に引退した白毛馬のソダシが上位という結果もある程度は納得できます。
またこの企画は「語り継ぎたい」という趣旨なので、成績以上に投票する人の思い入れが大きく左右するため、意外な馬の意外な順位があったとしても、そこがまた興味深いところでもあって、専門家や評論家たちの選出とは異なる面白さがあります。
昭和62年(1987)にデビューし、平成2年(1990)まで時代をまたいで活躍したオグリキャップが3位に選ばれているのも、有終の美を飾った有馬記念の「オグリコール」を耳にしている世代としてはうれしい限りです。