
(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)
稀代のスピード王・ロードカナロアの偉業
この原稿は2月2日の東京競馬場メインレース「根岸ステークス(G3、ダートコース、1400メートル)」のテレビ実況を横目で眺めながら書き始めています。
このレースには16頭出走登録していましたが、父馬にロードカナロアを持つ馬が2頭出走し、結果はその2頭(コスタノヴァ、ロードフォンス)が1、2着を占めました。
ロードカナロア(父・キングカメハメハ、母・レディブラッサム)は2010年から2013年にかけて生涯19戦して13勝、うち11勝が距離1200メートル(芝コース)という短い距離での活躍から希代のスピード王として名を残しています。
勝利を逃した6レースの内訳にしても2着5回、3着1回というもので、その見事な内容から日本史上最強の芝・スプリンターとも評価されています。
さらに世界中のG1馬が集まる香港スプリントに出走して2012年、13年と連覇、特に生涯最後のレースとなった13年の香港スプリントでは他馬に5馬身の差をつけて楽勝。その圧倒的なレースぶりから、「世界歴代スプリンターのベスト3に入る」と絶賛する競馬関係者もいるくらいです。
馬名は馬主の(株)ロードホースクラブからの冠・ロード(lord=神、支配者)とハワイ神話のカナロア(kanaloa=海の神)から名付けられたそうです。香港競馬での漢字名が水神・海神を表わす龍にちなんで「龍王」と表記されているのも納得できます。ハワイのイメージは父馬・キングカメハメハの名の影響でしょう。
ロードカナロアは引退後も種牡馬としてきわめて優秀で、産駒デビュー2年目の2018年には牝馬三冠を達成したアーモンドアイ、マイルチャンピオンシップ(G1)に優勝したステルヴィオを輩出、さらに翌19年には牡馬サートゥルナーリアが距離2000メートルの皐月賞に勝利しています。
ロードカナロア自身は短距離馬でしたが、子供たちにはさほど距離を苦にしない馬もいて、カナロアの父・キングカメハメハの血をうまく伝えています。