2024年12月28日、第41回ホープフルステークスで優勝したクロワデュノール 写真/共同通信社

(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)

桜花賞・皐月賞の優先出走権がかかるトライアルレース

 新しい年が明け、昨年デビューして新馬戦や重賞レースを勝ち上がってきた馬たちがいよいよクラシック戦線に登場。これから新たにデビューする良血馬に対してもアンテナを張っておかなくてはいけません

 競馬の大きな魅力の一つである3歳の牡馬・牝馬によるクラシックレースを楽しむためには「桜花賞(牝馬の1冠目。4月13日)」「皐月賞(牡馬の1冠目。4月20日)」が開催される4月まで、この期間のレースを見ておくことが重要なのは言うまでもありません。

「クラシックへのトライアルレース」と称されたいくつかのレースがあります。

 桜花賞をめざす牝馬の場合、桜花賞の1か月前に同じ阪神競馬場で同じ1600メートル芝コースで争われるチューリップ賞(2025年は3月2日)があり、皐月賞をめざす牡馬の場合、皐月賞の1か月前に同じ条件(中山競馬場・芝2000メートル)で争われる弥生(やよい)賞(同3月9日)が開催されます。

 どちらもG2レースで、弥生賞は名馬ディープインパクトが初めて重賞勝ちしたレースであることにちなんで「ディープインパクト記念」としても知られています(正式名称は「報知杯弥生賞ディ―プインパクト記念(皐月賞トライアル)」)。

 もう一つ3月16日に行われる「スプリングステークス」、こちらも「皐月賞トライアル」と銘打たれていて、これらのレースは3着までに入ればそれぞれ桜花賞・皐月賞の優先出走権が与えられます。

 弥生賞に勝利した馬たちには三冠馬となったミスターシービー、シンボリルドルフ、ディープインパクトをはじめ、そのほかフジキセキ、スペシャルウィーク、マカヒキ、タイトルホルダーなど、のちに名馬として名を成した馬たちの名が綺羅星のごとく並んでいます。

 私が競馬と親しむようになった1970年代、弥生賞の優勝馬といえば、ロングエース、ハイセイコー、カーネルシンボリ、カブラヤオー、クライムカイザー、ラッキールーラ、ファンタストなどがいます。「幻のダービー馬」と言われたカーネルシンボリを除いて、どの馬も皐月賞かダービーに勝利しており、カブラヤオー、クライムカイザー、ラッキールーラは3年連続のダービー馬となっています。つまり、弥生賞はそれだけクラシックレースの登竜門としての役目を果たしていたレースだったのです。

 近年はこのレースを足場にクラシックへ乗り込む馬が減りました。馬の脚への負担軽減のためクラシックレース本番前はレースを少なくする傾向があり、弥生賞を通過して直接皐月賞に向かう馬が増えたことも影響しています。