1993年11月28日、ジャパンカップ、最後の直線で抜け出し優勝したレガシーワールド(右) 写真/共同通信社
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(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)

「高松宮」の尊称は競馬シーズン幕開けの合言葉

 2月に行われたダートコースでの最初のG1レース『フェブラリーステークス』ではコスタノヴァが優勝。騎乗した英国出身・オーストラリア(以下、豪州)で活躍中の女性騎手、レイチェル・キング騎手が話題になりましたね。

 女性騎手がJRAの平地G1レースで勝利したのは初めてのことだったので日本のマスコミは大きく取り上げていました。キング騎手本人は勝利を喜びつつも、ことさら「女性」を強調されるのはむしろ迷惑なような感じで、さらりと受け流していた態度に好感が持てました。すでに豪州でG1級レースを5勝していた34歳のキング姐さん、さすがの貫禄です。

 さて、2025年、芝コースで行われる今年最初のG1レース「高松宮記念」がいよいよ3月30日、名古屋の中京競馬場で開催されます。

 4月6日の「大阪杯」から6月15日の「宝塚記念」まで、4月27日を除く日曜日にJRAのG1全10レースが連続して行われます。このG1ラッシュを前に、その先導役を担うG1レースがこの「高松宮記念」(芝コース、1200メートル)です。

 2013年以前、中京競馬場で行われるJRAのG1レースといえばこの「高松宮記念」のみで、地元ファンにとっては年に一度のお楽しみでした。1995年までは中京競馬場で行われる2000メートルの「高松宮杯」として親しまれていたレースで(「高松宮記念」に名称変更されたのは1998年)、かつて岐阜の笠松競馬場出身のオグリキャップがレコードタイムで優勝し、中京地区のファンを喜ばせたレースでもありました(オグリ優勝の1988年当時は2000メートルの中距離レースでした)。

「記念」が「杯」に変わっても「高松宮」と聞くと、オグリ以外にもハイセイコーやフジノパーシア、トウショウボーイ、バンブーメモリーなど、このレースで勝利した名馬を古参競馬ファンは懐かしく思い出すかもしれません。