2013年11月10日、エリザベス女王杯で優勝したメイショウマンボ 写真/山根英一/アフロ
(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)
騎手変更の声に負けなかった武幸四郎騎手
この原稿を書いているのは2026年2月1日日曜日の夕刻。さきほど京都競馬場で行われたメインレースの「シルクロードステークス(G3)」の実況を見ていたら、18頭立て16番人気のフィオライアという5歳牝馬が優勝、単勝馬券は8750円という高額配当となりました。
単勝馬券を1000円買っていた人は8万7500円を手にすることになり、この5歳牝馬に初騎乗して高配当を演出した太宰啓介騎手に手を合わせたい気持ちでしょう。ついでながら、1、2、3着の予想馬券(3連単)を100円購入した人はなんと243万8990円の収入となりました。
人気薄の牝馬はこうした高配当を時折もたらすことがあり、これもまた競馬の魅力のひとつとなっていますが、無印牝馬が一変するときの兆候が少しでもわかればと願うのは、私だけではないでしょう。このあたりは相馬眼に自信ありの男性より、女性の第六感に頼ったほうがいいかもしれませんね。
このレースほどの高配当ではありませんでしたが、人気薄牝馬の重賞勝利ということで、1頭のユニークな名牝のことを思い出しました。2013年のオークスで9番人気ながら優勝し、単勝2850円の穴をあけたメイショウマンボ(父・スズカマンボ、母・メイショウモモカ)です。
メイショウマンボは3歳の桜花賞を迎えるまでに5戦3勝の好成績を残していて、桜花賞では単勝8.7倍の4番人気となっていましたが、レースでは10着に終わります。このとき騎乗していた武幸四郎騎手(現・調教師)に対し、手がわり(騎手変更)の声が上がりますが、武騎手は直接メイショウマンボのオーナー松本好雄氏に電話をかけ、次戦のオークスでも騎乗させてほしいと懇願します。松本オ―ナーは快諾、オークス当日での人気は前述のように9番人気と下降しましたが、メイショウマンボと武騎手のコンビは桜花賞の鬱憤を晴らすかのように、2着馬に1&1/4馬身の差をつけて快勝、心地良い穴馬券を誕生させてくれました。
当時、苦境の時期にあった武幸四郎騎手にとって重賞勝利は5年ぶり、G1にいたっては7年ぶりの勝利でした。レース後、幸四郎騎手と松本オーナーが涙を浮かべながら喜びを分かち合う映像を見ると、今でももらい泣きしてしまいそうです。