(宇山 卓栄:著作家)
「招待国枠」での韓国の参加は2回目
5月19〜21日の日程で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島市で開かれます。G7サミットには、メンバーの7カ国のほかに、「招待国枠」というものがあります。「招待国枠」にどの国を招待するかは、議長国の裁量によって決められます。
今回のサミットは日本が議長国なので、日本が招待国を決めました。招待国はインド、インドネシア、オーストラリア、韓国、クック諸島、コモロ、ブラジル、ベトナムの8カ国です。
韓国は、2021年6月に、英国のコーンウォールで開催されたG7サミットに、招待国として初参加しました。当時の文在寅大統領は「韓国の国際的地位はG7諸国と肩を並べるものとなった」と強調して、国内向けに喧伝していました。
この時のサミットで、韓国政府は首脳の集合写真を加工して、公式SNSに掲載したことが話題になりました。端に立っていた南アフリカ首脳の姿をカットして、文在寅大統領が中央に近い立ち位置になるように写真を加工した上で、韓国政府は「この位置、この姿が大韓民国の地位だ。私たちはここまで来た」などと伝えていました。
その韓国にとっては、今回が2回目の「招待国枠」参加になります。
過去に、韓国をG7の正式メンバーに加えようとする提案がなされたことがあります。2020年のG7サミットはコロナ禍のためオンラインでの開催となりましたが、議長国だった米国のトランプ大統領が事前に、韓国、オーストラリア、インド、ロシアをメンバーに加える提案をしていました。この時、ドイツ、英国、カナダ、日本が反対しています。
2021年のG7サミットでも、議長国英国のジョンソン首相が韓国、オーストラリア、インドをメンバーに加えることを提案しましたが、日本が反対しています。日本としては、竹島問題や歴史認識問題の対立で関係が冷え込んでいた韓国を正式メンバーに迎え入れ、協調して行くのは難しいことも理由の一つだったと考えられます。
しかし、状況は大きく変わりました。