(写真:ロイター/アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 G7広島サミットが目前に迫ってきました。私の周囲の人々にもサミット関連で動いている人が何人もいます。G7に先駆けてアフリカ4カ国を歴訪した岸田文雄総理に帯同した関係者、林芳正外相の中南米歴訪に帯同した関係者、私の古巣の経産省の関係者、さらにはサミットに合わせて来日する予定のアメリカの要人など…。そうした人たちと個別に意見交換・議論する機会が増えました。

 それらから総合すると、今回のG7サミットにはここ最近には見られなかった大きな特徴があります。それは、一言で言えば、G7の存在感のある程度の復活です。ここしばらく、G7は中国やインド、ロシアなども含めたG20にとってかわられて、「あまり意味がない会議」かのように見られていました。それが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化を受けて、「西側の結束を示す」という性格をより強く帯び、極めて重い意味のあるサミットになるということです。

グローバルサウスをいかに惹きつけるか

 そうした中で今回のG7サミットには特にポイントが3つあると思います。

 1つ目は、広島での開催ということです。被爆国・日本の被爆地で開かれるG7サミットということで、岸田総理もライフワーク的に主張してきた「核廃絶」というメッセージを、中長期的な目標としてしっかりと掲げることに意味があります。

 2つ目のポイントは、G7各国(「西側諸国」と言い換えてもよいですが、対概念の東側[共産主義圏]がなくなっているので、権威主義国家たちに対する欧米文明諸国という感じでしょうか、今や)が、「武力で国際秩序を乱す者は許さない」「力による現状変更は認められない」という毅然とした姿勢で、必要であれば不当な力には、正義の力を示すことも厭わないという態度をとることです。

 もっとはっきり言えば、核の使用をチラつかせながらウクライナに侵攻しているロシアに対し、結束して、場合によっては核による反撃だってありうると示すことです。これは潜在的には、台湾侵攻を目論む中国のように、今後、力で現状を変えようという権威主義国家の試みにしっかりと対抗し、封じ込める力を見せつける重要な場に、今回のG7サミットがなるということです。