公開されたケネディ大統領暗殺に関する公文書(3月18日撮影、写真:ロイター/アフロ)

メディア、専門家たちは解読に没頭

 米国立公文書館が、これまで機密指定して公開しなかった1963年に当時のジョン・F・ケネディ第35代大統領が暗殺された事件に関する1123件の文書(6万4000ページ)*1を新たに公開した。

*1=トランプ氏は、公開前に8万ページの文書を公開すると述べていた。1万6000ページ足りないが、今後さらに公開されるかどうかは分かっていない。

 トランプ氏は就任3日目に機密指定している文書の全面公開を指示する大統領令に署名していた。

 国立公文書館のウエブサイトには3月18日付けで1123件の新たなファイルが掲載された。

JFK Assassination Records - 2017-2018 Additional Documents Release | National Archives

 歴史家の中には、文書は膨大でファイルを開くだけでも2日かかるとする者もあり、ワシントン・ポストなどは30人余の記者、リサーチャーを総動員して文書の解読に取り組んでいる。

See the unredacted details from the JFK files: CIA secrets and exposed agents - Washington Post

 こうした中で、3月21日現在、米メディアは元米海兵隊員のリー・H・オズワルド容疑者224歳没)の単独犯だとするウォーレン調査委員会の結論(1963年)を覆すような内容は今のところ見つかっていないと報じている。

Classified Documents: What’s in the New Kennedy Files? Spies. State Secrets. No Second Gunman. - The New York Times

*2=1957年から翌1958年、日本の厚木基地(米海軍厚木航空施設)に勤務し、航空管制官を務めたこともある。逮捕の2日後、ナイトクラブ経営者のジャック・ルビー容疑者に警察署内で射殺された。ルビー氏は67年、肺がんで死亡(55歳没)。

CIA陰謀説の火付け役は63年の報道

 トランプ氏は、大統領選キャンペーン当時からケネディ暗殺の真相を明らかにすると言い続けてきた。

「米国民の多くが真相が明らかになることを望んでいる。私は米国立公文書館が保管している文書をすべて公開する」

「米国民が真実を知りたいと言ってから早60年の年月が流れている。今こそ、隠された真実を明らかにすべきだ」

 大統領選後半にトランプ陣営に加わったジョン・ケネディ氏の弟ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子、ロバート・ジュニア氏(現保健福祉長官)にもそのことを確約してきた。

 ケネディ暗殺事件については、1963年11月、米情報機関とは密接な関係を持つジャーナリスト、ジョン・G・アンダーヒル氏が過激派リベラル『ランパート』誌(その後廃刊)に「暗殺にはCIAが関与している」とする記事を掲載。

 CIA陰謀説に火が付いた。特にその後、同氏がワシントンで謎の死を遂げたことで米社会は俄かに色めき立った。

Trump’s JFK file release left out two-thirds of promised documents, expert says | The Independent

104-10170-10145.tif (archives.gov)

 その後、ケネディ一族からもCIA陰謀説が取り沙汰されたことがある。

 ロバート・ケネディ・ジュニア氏は2023年、FOXニュースとのインタビューでこう述べていた。

「伯父の暗殺にはCIAが介在しているという明確な証拠がある

「CIAの介在を隠蔽したのはCIA長官でウォーレン委員会のメンバーだったアレン・ダレスだ」

 また、今回のケネディ暗殺文書の公開について、ジョン・F・ケネディ氏の唯一の孫、ジャック・シュロスバーグ氏(32=キャロライン・ケネディ元駐日大使の長男)はSNSにこう投稿した

「何ら我々に事前通告もせずに公開するとは。寝耳に水。何ということだ(Total surprise, Not shocker!!)」

トランプ氏が私の祖父に憑かれているのは祖父の死に関心があるからだ。祖父の人生や政治に関心があるわけではない」

「ケネディ暗殺関連文書の公開はなぜ遅れているのか」と質した共和党のマイク・リー上院議員については、「この議員には祖父のレガシーをぶち壊そうという意図がある」と投稿している。