キング師の不倫を記録したFBI

 ケネディ暗殺事件関連の機密文書の公開とともに、トランプ氏が公言しているのが、ロバート・ケネディ元司法長官と公民権運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング師の暗殺事件関連文書の公開だ。

 すでに司法省に米連邦捜査局(FBI)が保管しているキング暗殺事件に関する捜査記録の開示を命じている。

 ところがキング一族は公開前に家族の事前検閲を望んでいる。

 というのも、この捜査記録にはFBIがキング師の家や定期的に滞在していたホテルに盗聴器を仕掛けて録音したキング師の肉声が存在しているとされているからだ。

 FBIがキング師を調査した理由は米国共産党とのつながりがあるとの疑惑からだとされている(そうした事実はなかった)。

 その大半がキング師と不特定多数の女性との会話だという。

(この話はFBIのリークを基にして書かれた本がすでに暴露されている)

 キング師の支持者たちは、こう主張している。

「トランプ氏がキング師の捜査記録を出したがっているのは、キング師の醜聞を表沙汰にして彼のレガシーをぶち壊したいからだ」

 大統領就任以降、少数民族や女性を優遇する雇用制度、DEI(Diversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包括性)の行き過ぎにストップをかけてきたトランプ氏の「黒人対策」が見え隠れするというのである。

 ロバート・ケネディ暗殺文書の公開も当然、予定表には載っているようだが、これはロバート・ケネディ氏の意向を十分配慮したものになりそうだ。

 目下のところ、やはりオズワルドの単独犯行だったという定説は揺らいでいない。

 だが米世論もメディアもそれを鵜呑みにしているわけでもない。

 それにしても国家機密やプライバシーを何とも思わぬトランプ氏の感覚には、米国民は今さらのように驚いている。