G7広島サミットに招待された韓国の尹錫悦大統領は、岸田文雄首相とともに韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 新型コロナウイルスの流行も下火になり、諸規制も緩和されたことから、久しぶりに韓国を訪れた。韓国の新聞社が主催するシンポジウムに招待されたからである。日米韓の3カ国の対話を促進しようという狙いで、アメリカからはアル・ゴア元副大統領、日本からは私が講演をし、韓国の経済専門家、在韓米軍司令官もスピーチを行い、活発な議論をした。

関係改善を促す役割果たしたウクライナ戦争

 この機会に、韓悳洙(ハン・ドクス)首相や与党「国民の力」議員で尹錫悦大統領側近の権性東議員とも話をしたが、大統領や岸田首相のイニシアティブで日韓関係が好転しているという認識を共にした。

 日本と韓国とアメリカ三国の関係を考えるときに、とくに日韓関係については2022年に大きな変化が起こった。その変化をもたらした要因として、5つの点を指摘したい。

 第一は、2022年2月24日に起こったロシアによるウクライナ侵攻である。これは、国際法違反の蛮行であるが、NATOなど西側の支援を受けたウクライナ軍が抵抗し、今なお戦争が続いている。

 日本も韓国も、民主主義陣営のメンバーとして、ウクライナ支援に参加しており、両国の連帯を深める契機となった。

 また、他国から侵略された場合、同盟国の支援が大きな役割を果たすことが再認識された。ウクライナは、事実上、NATOの同盟国としての扱いを受けており、戦車や戦闘機まで供与されている。

 日本も韓国もアメリカと同盟関係にあるが、他国に侵略された場合、アメリカのみならず、それぞれ韓国や日本の支援が大いに役に立つ。軍事同盟関係になくても、同じ民主主義陣営のメンバーとして、権威主義陣営と対決するために、連帯する必要をウクライナ戦争が日韓両国民に理解させたのである。