5月19日、広島に集結したG7各国の首脳と、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長とシャルル・ミシェル欧州理事会議長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 ウクライナ戦争は停戦の見通しも立たないまま、戦闘が続いている。そのような中で、5月19日から広島で主要先進国首脳会議(G7、サミット)が始まった。政府債務上限問題で訪日しない可能性まで示唆されていたバイデン大統領も参加した。

 しかし、G7が対ロシアで結束しても、それが直ちに停戦に結びつくわけではない。そのような中で、注目に値するのが中国の動きである。

中国の李輝ユーラシア特別代表がウクライナ訪問

 中国の李輝ユーラシア事務特別代表は、16、17日にウクライナを訪れ、クレバ外相やゼレンスキー大統領と会談した。

 クレバ外相は「ウクライナの主権と領土の一体性を尊重した平和回復の原則」を説明し、ウクライナが領土を失うことや、「紛争の凍結」を含む提案は、受け入れないと強調した。要するに、<クリミア奪還まで戦う>という主張を繰り返したのである。

 これに対して、李特別代表は、「相互信頼を築き、停戦と和平交渉を行うための条件を整える必要がある」と発言し、中国は今後もできる限りの支援を行うと述べた。ウクライナ側も「停戦と平和を取り戻すために中国が積極的な役割を果たすことを歓迎する」と応じたという。

 中国外務省は「中国は常に独自の方法でウクライナの人道的状況を緩和するために建設的な役割を果たしており、今後も能力の範囲内でウクライナを支援する」と述べている。