習近平主席(写真:AP/アフロ)

 ついに4月26日午後、中国の習近平主席とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話会談が実現した。

 同日夜7時からのCCTV(中国中央広播電視総台)のメインニュース『新聞聯播』(シンウェンリエンボー)は、ニュースの後半で、「いま臨時ニュースが入りました」と男性アナウンサーが緊張した様子で述べて、速報を伝えた。

 私はもう30年以上、この番組を見ているが、「臨時ニュース」というものを初めて見た。日本ではよくあることだが、中国では「事前検閲」が厳しいため、毎日予定調和的なニュースしか流れないのだ。

ウクライナとは密接な関係にある中国

 その後、夜9時7分になって、新華社通信が長文の記事を出した。それによると、習近平主席はこう語ったという。

「中国とウクライナには31年の発展の歴史があり、戦略的パートナーシップ関係のレベルにまで達している。それは両国の互いの発展振興の助力となってきた。

 私はゼレンスキー大統領が何度も、両国の関係と中国との協力を重視すると言ってくれていることを称賛したい。昨年、中国の公民がウクライナを離れる際、大きな助力をしてもらえたことにも感謝する。

 主権と領土の一体化を相互に尊重することは、両国関係の政治的基礎だ。双方は未来を見るべきであり、長期的な角度から両国関係を見つめ、計画を立てることを堅持すべきだ。双方が引き続き互いに尊重し、真摯に付き合う伝統を続け、両国の戦略的パートナーシップ関係を前に進め、発展させていくのだ。

 中国が両国関係を発展させようという意思は一貫しており、明確なものだ。国際情勢に左右されることなく、中国はウクライナとともに、両国の互恵協力を前進させていく」

 このように、まずは全般的な両国関係について述べた。思えば、ウクライナ戦争前の2019年は、ウクライナにとって最大の貿易相手国が中国だった。ロシアのミサイルや大砲によってブチ壊されてしまったウクライナのインフラ設備も、その少なからぬ部分を中国が整備してきたのだ。