日韓両国における歴史問題の最大懸案となった元徴用工に対する賠償問題が尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の「第三者返済案」の提案で、解決に向けて動き出している。

 現在まで最高裁で勝訴判決を受けた15人の原告のうち10人が韓国政府から賠償金を受け取り、最近もまた元徴用工の1人が政府案を受け入れるとの意思を明らかにした。

 ただ、韓国内の世論はいまも政府案に否定的で、特に元徴用工の訴訟を支援してきた市民団体と一部の原告が、依然として政府案を拒否している。

韓国では尹錫悦政権が示した徴用工問題解決案に反対する人も多い。写真は旭日旗の真ん中に尹大統領の顔をあしらったビラを手にソウルの在韓日本大使館前で反対デモに参加した男性。今年3月11日撮影(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

「この戦いを多くの国民が見ています」

 そんな中、日刊紙『文化日報』は、「日帝強制動員市民の会」という市民団体が、政府案を受け入れる意思を明らかにした元徴用工に手紙を送ったり直接訪問したりして意思の撤回を訴えたと報道した(<賠償金収容者に「国民が見ている」…反日市民団体、徴用解法無力化の試み>5月17日記事)。

 同紙が公開した市民団体が送った手紙にはこんな文言が並んでいた。

「最高裁で勝訴するまで韓国政府が何か助けられたことがありましたか?」

「もしお金のためなら、私たちがここまでしてきたのでしょうか? 自分の事でもなく、自分の親の事でもないのに、(我々が)ここまで(一緒に)出られたのでしょうか?」

「この戦いを多くの国民が見ています。私たちが最後までおともします」