「弱者のための政治」を掲げ、「庶民に寄り添う政党」を自任する韓国の進歩政党「共に民主党」から金銭スキャンダルが絶えない。
党代表を選出する選挙の過程で、議員と党員に現金入りの封筒を配った疑惑で宋永吉(ソン・ヨンギル)前党代表と側近らが検察の捜査を受けているさなかに、今回は「庶民派政治家」を標榜している青年政治家が数十億ウォンの仮想通貨(暗号資産)を保有した事実が暴露され、韓国社会を揺るがしている。民主党内では曺国(チョ・グク)事件のような「国民的反発」が起きかねない事案だという心配が出ているという。
巨額の仮想通貨保持が判明したのは共に民主党の金南局(キム・ナムグク)議員(41歳)である。
「コンビニのアイスも食べられなかった」と過去の貧困ぶりをアピールしておきながら…
金議員は、曺国前法部長官が子どもの入試不正で苦境にあった2019年に「曺国守護隊」を主導して世の注目を浴び、2020年の総選挙に「曺国を守る」と訴えて出馬、晴れて当選して国会議員となった。
金氏はロースクール出身の弁護士ではあったが、故郷の光州を離れてソウルに上京した当時は、月に100万ウォン(約10万円)も稼げなかったほどの生活苦を強いられていたという。彼はこうしたエピソードを披露し、自分の窮乏ぶりを前面に押し出して、「庶民派政治家」のイメージを作り上げていった。
「私にとって100万ウォンは切実だ」「カップラーメンで食事を済ませ、コンビニのアイスクリームも食べられないほど金を節約した」「議員になった後も地方活動中には金を節約するためモーテルをみつけて秘書たち3人と一つの部屋に泊まった」など、涙の告白で支持者たちの共感を得てきたのである。
ところが、この“庶民派”青年政治家は、実はとんでもない「神の手クラス」の仮想通貨投資テクニックを駆使して、密かに数十億ウォンの資産を築いた人物であることが暴露された。