5月18日、翌日から始まるG7サミットに先駆け、アメリカのバイデン大統領との首脳会談に臨んだ岸田文雄首相(写真:AP/アフロ)

(山田敏弘・国際ジャーナリスト)

 5月19日から開幕される広島G7首脳会議(広島サミット)が世界から注目されている。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の覇権主義的な台頭などによって、世界が揺れ動いている中でのG7サミットだからだ。

 特に中国に対してはG7が厳しい姿勢を示す機会となりそうだ。事実、ロイター通信(5月13日付)は、G7サミットの共同声明で、「中国に特化した項目」を設け、「これまでの経済的威圧やその他の振る舞い」を含め懸念事項を列挙する見通しだと報じている。

 つまり今回の広島サミットでは、経済から国家の安全保障に影響を与える問題として、これまで以上に突っ込んで「中国」を念頭に置いた経済安全保障が議論される。

日本の国力を削ぐ外国によるスパイ行為

 経済安保については、中国からの深刻な脅威に直面している日本もこれまで積極的に対策を進めてきた。そもそも安全保障の問題は、以前は軍事や外交の分野に絞られていたが、近年ではハイテク分野など技術の窃取や経済的な圧力などが顕在化しており、経済分野が国家の安全保障を脅かす事態になっている。

 そんな中で、知的財産などを狙った外国によるスパイ行為も横行してきた。中長期的に見れば、日本の技術力が盗まれていけば、国力が低下し、技術の優位性や競争力が削がれ、国家の安全を脅かす安全保障の問題となる。

 そこで日本が直面している経済安保問題に重大な懸念となっているスパイ活動にフォーカスしてみたい。