満を持して、「本命」が表舞台に登場してきた。来年1月に行われる台湾の次期総統選挙で、野党・国民党の公認候補に選出された侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(65歳)である。
5月17日、国民党の朱立倫(しゅ・りつりん)主席は、党内部で行ってきた「徴召」(公認総統候補の選出)の結果を発表。「科学的調査」に基づき、侯友宜候補の方が、もう一人の候補者である郭台銘(かく・たいめい)ホンハイ(鴻海精密工業)前会長(72歳)よりも「勝てる候補」だと説明した。
「政権交代、政権交代、政権交代だ」
指名を受けた侯市長は、党幹部を前に、いつもの訥々(とつとつ)とした調子で、公認候補としての所信表明を行った。
「私が出馬するのは、国家の栄光と台湾の繁栄を得るためだ。皆さんが私を肯定してくれて感謝する。また、郭台銘会長にも感謝する。経済分野で格別な貢献をした郭会長とは、これから国家国民のため団結して頑張り、手を携えて並進し、中華民国台湾のこの土地で勝利を勝ち取りたい。
いま国家は、国際情勢の戦争の危機と国内の衝突、対立、無為な時間の中にあって、若者は未来が見えないでいる。われわれは必ずや、こうした状況を蹴破って新たに打ち立てる。政権交代、政権交代、政権交代だ。それによってこそ国家を救え、台湾を救えるのだ。
私は背水の陣で臨む決意だ。出馬するとは勝利することであり、国家を団結させることであり、人々に希望を与えることだ。中華民国を守護し、台湾・澎湖・金門・馬祖の土地に暮らす人々を愛する。これが私の生涯の信念であり、永遠に変わらない。