韓国・尹錫悦大統領夫人の金建希氏(提供:The People Power Party/Lee Jae-Won/アフロ)

 韓国のファーストレディ・金建希(キム・ゴンヒ)氏に対する野党「共に民主党」の難癖があまりにも度を越している。これが目下の韓国政界の最大のテーマになっているところに、韓国の大きな不幸がある。

 これまでもまるでストーカーのように建希夫人の一挙手一投足を監視しては非難を浴びせてきた共に民主党だが、今回は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の東南アジア歴訪に同行した建希夫人がカンボジアのある少年と撮った写真をやり玉にあげ、「貧困ポルノ(貧困を扇情的に表現する行為)画報」との何度も刺激的な論評を出した。これに与党の「国民の力」が強く反発し、国会では突如として「ポルノ攻防」が繰り広げられている。

海外歴訪で成果上げたのに支持率低下

 11月11~16日にかけ、尹錫悦大統領は就任後3度目となる多国間外交舞台である「ASEAN+3首脳会議」と「G20首脳会議」に出席し、多忙な外交日程を消化した。尹大統領はこの東南アジア歴訪の中で、就任後初となる韓中首脳会談をはじめ、日本の岸田文雄首相とバイデン米大統領との日米韓の3者首脳会談をこなすなど、国際外交の舞台で有意義な歩みを続けた。

 しかし残念なことに、歴訪に同行した建希夫人の一挙手一投足が野党の攻撃の対象となったことで、これに関する報道で溢れ、韓国国民の目と耳も建希夫人の話題に集中してしまった。結果的に尹大統領の首脳外交に関する記事は、国民の関心の外へと追いやられ、海外歴訪後の大統領支持率はむしろ下がる逆効果をもたらしてしまった。

 確かに、これまでの3度の外国歴訪でも、大統領よりファーストレディにマスコミの関心が集まっていた。若くて美しい大統領夫人のファッションやライフスタイルが国民的な関心事だったこともあるが、それだけではない。結婚前の様々な疑惑のせいで、韓国国民が建希夫人に対してかなり否定的なイメージを抱いている点を利用しようとする「共に民主党」の戦略による結果でもある。その戦略とは、尹大統領の外国歴訪のたびごとに、建希夫人の行動一つ一つを問題視し、「公論化」することで、尹大統領のイメージダウンを図るという戦略だ。

11月11日、訪問先のカンボジア・プノンペンのホテルで開かれた同胞晩餐懇談会での尹錫悦大統領と金建希夫人(写真:YONHAP NEWS/アフロ)