こちらは日本産のシャインマスカット(写真:アフロ)

 最近、韓国のスーパーや市場に行くとやたらと目につく果物がある。韓国メディアから「ブドウ界のエルメス」という高貴なキャッチフレーズを授けられたプレミアムフルーツ「シャインマスカット」だ。

 筆者の幼い頃、ブドウと言えば夏を代表する果物だったが、ハウス栽培が主流となったシャインマスカットは集中出荷時期が10月中旬~11月、まさに今が旬なのだ。そして、ここ数年で爆発的な人気を得たシャインマスカットは、「エルメス」に例えられるだけあって、常に高値で取引されてきた。

 ところが今年は様子が一変した。シャインマスカットの価格が突如暴落したのだ。

昨年価格から4割安

 今年10月の1カ月間、韓国最大農産物市場である「カラク市場」でひと箱2kgのシャインマスカットは平均1万2107ウォンで取り引きされていた。これは昨年の2万486ウォンと比べ41%も低い価格だ。

 筆者の近所のフルーツショップにも、安っぽいプラスチック製のバスケットに入ったシャインマスカットが一房6000ウォン(約630円)という値札をつけて並んでいた。昨年まではあまりに高価なため、近所の店頭ではなかなかお目にかかれなかったこの高級フルーツにいったい何が起こっているのか。フルーツショップの主人に事情を聞いてみた。

「うわ~、ずいぶん安いですね。もしかして味はイマイチ?」

「そんなことないよ。ここに『16ブリックス』って書いてあるだろう。甘いキャンベルアーリーの糖度が14ブリックスくらいだから、16ブリックスだとかなり甘いよ。ただ、今年はたくさん出荷されて、保管倉庫に全部入れられないくらいみたいなんだ。捨てるよりは安く売ったがましだと思ったんだろうね。おそらく来年はもっと安くなるよ」

 確かにシャインマスカット3房が入っている箱には原産地と生産者名、そして16ブリックスと書かれていた。フルーツショップのご主人の話によると、18ブリックス以上の高品質は輸出用やデパート向けなどに流通し、スーパーや市場に出てくる商品は17ブリックス以下のものだという。