元徴用工による寄付は「むしろ望ましいこと」

 この報道に、該当市民団体は反発、「朝鮮日報」を強く糾弾した。 

「原告が、多くの市民、人権団体、活動家の助けを借りて受け取った金額の一部を他の公益事業基金として拠出して社会に寄与させることは誤ったことではなく、むしろ望ましいこと」とし「(朝鮮日報の報道は)尹錫悦政権の屈辱外交に対する国民的非難が高まると、危機を突破しようとする企み」「人権団体や活動家たちを国民から分断するための意図がある」と批判した。

 翌日、朝鮮日報は再び関連ニュースを報じた。元徴用工の遺族が政府から賠償金を受領すると、その直後に日帝強制動員市民の会は遺族に連絡、賠償金の一部を要求したが、受け入れられなかったため、約2週間後に合意文書を根拠に金銭の拠出を求める「内容証明郵便」を送った、という内容だった。

 同紙は、「一部遺族は被害者が生前に結んだ合意文書の存在を賠償金の受領後に知らされ、支払いに難色を示している状況だ」と伝え、「(合意文書が)法的に無効の可能性がある」との一部の主張も伝えている(<第三者弁済を批判していた韓国の市民団体、11年前の「合意」を基に遺族に賠償金の20%を要求>5月24日付)。

 また、チャンネルAの追加報道によると、同団体は内容証明を送った後、何度も遺族の自宅を訪問して寄付を催促した。だがその後、相次ぐ報道に困惑した団体は「故人の遺志(賠償金の20%寄付)に従うかどうかは遺族が決める問題だ」と一歩退いた。

 この報道を見て、多くの韓国人は尹美香(ユン・ミヒャン)議員の行状を思い浮かべたはずだ。元慰安婦を助けるために作られた市民団体「挺対協」(挺身隊対策協議会)は、2015年に日韓慰安婦合意が発表されると、日本政府が拠出した10億円を返すために「正義記憶財団」を設立して国民募金運動を展開した。2018年には挺対協と財団が統合され、「正義記憶連帯(正義連)」に拡大改編された。