これらのニュースを総合すると、現在、韓国政府と市民団体はそれぞれ、元徴用工らを説得するために接触を試みる一方、メディアを利用して相手方への非難合戦をしているようだ。裁判が始まった当時には15人だった元徴用工らは今や3人だけになった。象徴性を持っている彼らを味方につけることで国民世論を自分たちに引きつけようとしているのだろう。

 ところが5月23日に『朝鮮日報』が1面でメガトン級のスクープを放った。これで市民団体側は一気に窮地に追い込まれた。

市民団体と元徴用工が交わしていた「賠償金の一部を寄付する」との文書

<「徴用工賠償金、受領時に20%支払う」…韓国の市民団体、11年前に被害者と合意していた>

 それが記事のタイトルだ。

 同紙によると、日帝強制動員市民の会は、元徴用工5人が三菱重工業を相手取って光州地裁に訴訟を起こす前日の2012年10月23日、約束を交わした。

「事件に関連して損害賠償金、慰謝料、和解金などその名称を問わず、被告から実際に支給された金銭の20%に相当する金額を日帝被害者人権支援事業、歴史的記念事業および関連公益事業のために使えるように市民の会に支払う」という内容だった。

 同紙は、「当時合意した被害者5人のうち3人が亡くなった。こうした中、遺族の一部が今年3月に発表された政府の解決策に賛成し、日帝強制徴用被害者支援財団から先月、約2億ウォンを受け取った」とし、「政府の解決策には反対しているのに(市民団体が)被害者遺族に支払いを要求すれば、論議を呼ぶことが予想される」と指摘した。