石破茂首相率いる自民党が衆院選に惨敗した。韓国では、この結果が日韓関係にどのような影響が及ぶのか固唾をのんで見守っている。
というのも、両国間の懸案に比較的柔軟な立場を見せてきた石破氏に、韓国民は好感を抱いていた。そして徴用工賠償問題など歴史問題について果敢な決断を下してくれることを内心期待してきた。ところが総選挙を経て、石破首相退陣の可能性まで言及されだした現在の状況は決して心安いものではない。
そのうえ、今回の選挙で148議席を獲得し、大躍進した立憲民主党を率いる野田佳彦代表との過去の「悪縁」を思い起こし、日本の政権交代の可能性にも神経を尖らせている。
石破氏は「親韓政治家」
韓国メディアが石破首相を紹介する際に最も強調している部分は「穏健な歴史認識を持っている」という点だ。
2017年5月、韓国紙『東亜日報』との単独インタビューで石破氏は、慰安婦問題と関連して「相手が納得するまで謝罪しなければならない」という趣旨の発言したエピソードは韓国人に広く知られている(ただし石破氏本人は当時のインタビューについて「お詫びという表現は使わなかった。互いに納得するまで努力しなければならないと言った」と否定している)。
また石破氏は、党内のライバルである安倍晋三氏の強硬な対韓国政策をことごとく批判してきたのだが、これは韓国人に「親韓政治家」というイメージを抱かせた。
その「親韓政治家」がせっかく日本の総理大臣に選出されたのに、わずか1カ月も経たないうちに総選挙で惨敗し、リーダーシップ喪失の危機に瀕している状況に、韓国政府も内心がっかりしているようだ。