接戦が予想されていた米国の大統領選挙がドナルド・トランプ共和党候補のワンサイドゲームであっけなく終わってしまい、全世界が「ストロングマンの帰還」に緊張している。韓国も例外ではない。さらに強まる保護貿易主義に韓国経済界が緊張しており、在韓米軍防衛費分担金の10倍引き上げを要求し、在韓米軍の撤収まで取り上げてきたトランプ大統領の帰還がもたらす安保危機に対して、韓国国民が大きな警戒心を示している。
韓国メディアは今回の米大統領選挙に際して、終始ハリス民主党候補の優勢を予測する失敗を犯した。この誤判については韓国メディア内部では、民主党偏向的な米国の主流メディアの習性を理解できないまま、彼らの選挙分析をそのまま引用・報道した結果だという自省の声が出ている。
だが、筆者はこれに加えてトランプ氏の当選を懸念する韓国人としての本音が反映された結果だと思う。米大統領選挙に対する韓国の世論調査では、常に回答者の7~8割がトランプ氏よりハリス氏の当選を望んでいるという結果が出た。韓国人にとっては、韓国経済の繁栄と安保の根幹となる韓米同盟さえ取引の対象とみなすトランプ氏の復帰は、それだけ恐ろしくて憂慮される結果であるからだ。
韓国経済に巨大ショックとなる可能性
来年1月20日、ドナルド・トランプ次期大統領の就任と共に始まる「トランプ2.0」は、より強い保護貿易主義、より強い米国優先主義政策を展開すると予想されるだけに、米国を最大の輸出相手国とする韓国経済に大きな脅威として迫ってきている。
まず10~20%普遍的基本関税と中国産には最高60%高率関税を公言している“関税爆弾”が現実化すれば韓国経済に大きな打撃になるのは必至だ。国策研究機関である「対外経済政策研究院」は、輸入製品に普遍的基本関税が20%賦課される場合、対米輸出額は42兆ウォン(約4兆7000億円)、総輸出が最大62兆ウォン減り、実質国内総生産(GDP)が最大0.67%減少する可能性があると予測している。民間シンクタンクの「現代経済研究院」は、関税戦争が世界に拡散すれば韓国経済成長率が多ければ1.1%ポイント下落する可能性があると分析した。