韓国メディアは、この過程で最悪の場合、韓国の安保に絶対的な在韓米軍の削減、ないしは撤収が現実化する恐れがあると憂慮している。トランプ氏は政権1期目の時、「在韓米軍撤収」を取り上げたが、側近たちから「2回目の任期に優先順位にしよう」と止められたという説がある。
トランプ氏は大統領から退いた後の2021年11月、米マスコミとのインタビューで「政権1期目で後悔すること」として、「韓国から防衛費分担金50億ドルを受け取れなかったこと」と話し、今年10月には「韓国はマネーマシン(金持ちの国)であり、私がホワイトハウスにいたら防衛費分担金として100億ドル(14兆ウォン)を受け取ったはず」と断言した。現在確定している分担金のおよそ10倍の額だ。
進歩系の中央紙『韓国日報』は、「トランプが在韓米軍駐留費だけでなく韓米間の連合訓練費用や戦略資産の韓半島展開において一つ一つ韓国政府から金を受け取るだろう」と展望し、「血盟を絞り出している」と批判した。
「米朝交渉」から韓国がスポイルされる恐れ
韓国の安全保障にとって防衛費分担金よりも深刻な問題は、北朝鮮の金正恩委員長との親交を誇示したトランプ氏が大統領主任後、電撃的に米朝首脳会談を推進する可能性が高いということだ。
もし、トランプ氏と金正恩氏との「北朝鮮核交渉」が再び始まり、その過程で韓国が排除されれば、韓国としては非常に当惑する状況に直面する恐れがある。
韓国の意志とは裏腹に、トランプ氏が核廃棄ではなく核凍結、具体的には核兵器生産実験の中止、ICBM開発の中止などの見返りに、北朝鮮に制裁緩和を含む経済的支援などを提供する取引をする可能性もあるという疑念だ。
一部では、承認欲求の強いトランプ氏がノーベル平和賞受賞などを狙って、金正恩氏と電撃的に合意に至る可能性もあると見ている。
すでに文在寅・前大統領はトランプ氏の当選直後、「中断していた米朝対話の再開と韓半島の平和を期待する」という書き込みをSNSに掲載し、トランプ氏に北朝鮮との直接コミュニケーションに乗り出すよう勧めている。