「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名し握手するロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=6月19日(写真:朝鮮中央通信=共同)
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 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が6月19日、3回目の首脳会談を行い、「包括的戦略的パートナーシップ」に合意した。「外部から攻撃を受けたら直ちに相互支援する」という条項が入っているこの協定は韓国に大きな脅威をもたらしている。

 韓国の安全保障の専門家からはすぐさま「朝鮮半島に再び冷戦が到来した」と憂慮する声が上がったが、そればかりか「自主的な核保有が必要になった」という主張が勢いを増しているのだ。

まるで「ソ朝友好協力相互援助条約」の復活

 ロシアと北朝鮮間の「包括的戦略的パートナーシップ」の内容の中でも、特に安保専門家が憂慮するのが第4条の条項だ。

「双方のいずれか一方が個別の国家または複数の国家から武力侵攻を受け、戦争状態に置かれる場合、他方は国連憲章の第51条と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とロシア連邦の法に準じ、遅滞なく保有するすべての手段で軍事や他の援助を提供する」

「遅滞なく」「すべての手段」などの用語が使われるこの部分に対して、専門家の間では「脱冷戦以後最も強力な条約」という評価が出ている。

「国連憲章と国内法に準ずる」という但し書きを付けたものの、その内容は冷戦時代の1961年に締結された旧ソ連と北朝鮮との「ソ朝友好協力相互援助条約」の内容と酷似しており、朝鮮半島を冷戦時代に回帰させているということだ。

 旧ソ連と北朝鮮間の「ソ朝友好協力相互援助条約」の第1条には、「いずれか一方の締約国がいずれかの一国又は同盟国家群から武力攻撃を受け、戦争状態に入つたときは、他方の締約国は、直ちにその有するすべての手段をもつて軍事的及び他の援助を供与するものとする」旨が明示された。