「第4条は疑う余地のない有事の際の自動軍事介入条項だ。ロシアの韓半島戦争介入、北朝鮮のウクライナ戦争介入の可能性をすべて開いた条項と解釈できる。ただし、ロシア・ウクライナ戦争以降続いている北朝鮮の砲弾などの武器支援を、今後より制度化するための法的基礎を設け、適切な同盟関係を構築するためには、第4条の実行を具体化するアクションプランが必要になると思われ、少なくない時間がかかることもありうる」(イム・ウルチュル慶南大学極東問題研究所教授)

核武装論が沸騰

 ロ朝の「包括的戦略的パートナーシップ」締結を機に、朝鮮半島のパワーバランスに変化の兆しが見え始めると、韓国の安保専門家の間で独自の核武装を主張する声が大きくなっている。

 今年の米国大統領選挙で「アメリカファースト」を主張するドナルド・トランプ前大統領が勝利すれば、「在韓米軍の削減または撤収」「韓米合同訓練の縮小」などの政策が推進され、米国に全面的に依存している韓国の安保は大きく揺らぐことになるからだ。このような状況で北朝鮮とロシアが密着を深めているのだから、韓国で独自の核武装論が台頭するのも無理のないことだ。

 韓国の国家情報院傘下の「国家安保戦略研究院」は、「(ロ朝協定締結を契機に)独自の核武装または潜在的核能力の具備など多様な代案に対する政府レベルの検討および戦略的公論化を推進しなければならない」と主張した。

6月25日、韓国・大邱で開かれた朝鮮戦争勃発74年の記念式典で演説する尹錫悦大統領。ロ朝条約を「時代錯誤」と批判した(写真:共同通信社)

 独自の核武装論を主張し続けてきた世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)韓半島戦略センター長も、「ロ朝の『包括的戦略的パートナー関係条約』締結を機に、冷戦時代のロ朝軍事同盟関係が完全に復元された」といいながら、「このような状況で、米国の核の傘にほぼ全面的に依存する現在の安保政策は、根本的に再検討される必要がある」とし、韓国独自の核保有の必要性を改めて強調した。