大邱で行われた朝鮮戦争勃発74周年記念式典で敬礼する韓国の尹錫悦大統領と金建希夫人=6月25日(写真:代表撮影/AP/アフロ)
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 今年4月の総選挙に大勝し再び韓国国会を掌握した「共に民主党」が、〈尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案〉発議のための聴聞会開催を予告した。

 親民主性向の左派市民団体代表が作った「弾劾請願書」に130万人を超える国民が同意したことを「根拠」としている。司法リスクを抱える李在明(イ・ジェミョン)代表を守るためにこれまで検事たちを弾劾してきた民主党が、今度は大統領弾劾に本腰を入れ始めたようだ。

民主党とその支持者のおもちゃと化したオンライン請願制度

 韓国国会は2020年から「オンライン国民同意請願」制度を導入している。以前は国会に請願を出すためには、必ず国会議員の紹介を得て文書で作成した請願書を国会に提出しなければならなかった。このハードルを取り払い、誰にでも請願できるようにするために定められたのがオンライン国民同意請願制度だ。国民同意請願サイトで30日以内に5万人の国民から同意を受けた請願書は国会に送付され、関連常任委員会が請願の妥当性を審査する過程を経て本会議に上程、立法化手続きに入るというシステムだ。

 制度の本来の趣旨は、どんな国民の声でも漏らさず民生に反映しようというものなのだが、国会の巨大野党である民主党はこれを悪用し、大統領の弾劾に向けた世論集めに利用している。

 国家保安法違反をはじめ、前科5犯の履歴を持つ「ろうそく行動団体」のクォン・オヒョク共同代表が弾劾請願文を作成して国会請願サイトに載せると、民主党支持者がネット上で一般の国民に対して請願同意を促した。するとあっという間に「5万人以上の同意」の要件を満たし、請願案は国会に正式に受け付けられた。