日韓首脳会談を前に握手を交わす安倍晋三元首相と朴槿恵前大統領(写真:Yonhap/アフロ)

 日本統治時代を含め、自国の歴史教育には時間を割く韓国だが、自国以外の世界の歴史については驚くほど時間を割かない。韓国人が自分たちの見たい歴史、信じる歴史だけを真実と捉え、それ以外の不都合なものを排除しようとする背景には、こういった貧弱な歴史教育が横たわっているのではないだろうか。韓国で中学2年生の息子を育てる立花志音氏の論考──。

◎立花志音の過去の原稿は以下をご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/search/author/%E7%AB%8B%E8%8A%B1%20%E5%BF%97%E9%9F%B3

(立花 志音:在韓ライター)

 100代目の内閣総理大臣に岸田文雄氏が就任した。2015年に韓国との間で慰安婦合意を締結した当時の外務大臣である。この合意は、米国のオバマ政権からの圧力を受けた両国が歩み寄って成し遂げられたものだ。当時、米政権でこの問題を担当したのが当時のバイデン副大統領である。

 バイデン副大統領は2013年12月に日本と韓国を訪れ、当時の安倍首相と朴槿恵大統領に首脳会談に臨むように圧力をかけた。そのバイデン氏が米大統領に就任したこともあり、韓国メディアは今後の米日韓の関係に注目しているが、あくまでもメディアの話であって、一般の韓国人は米国に対する関心が薄れているように感じる。

 そう思うようになったきっかけは、息子がケネディ大統領を知らなかったという衝撃の事実による。

 夏休みにYouTubeを見ていた息子が、宇宙人は実際にいて米国のトップシークレットだったという都市伝説を持ってきた。「これは本当なのか」と聞いてきたので、「ケネディ関連の動画を調べてみてはどうか」と答えたら「ケネディって何?」と言われたのである。

 びっくりして「学校で何を勉強しているのか」と聞くと、「自分は世界史を習っていないから知らない、友達もみんなそうだ」と言うのである。いやいや、ケネディは世界史ではなく一般教養だろう。教科書に出てくる内容以前に、一般常識じゃないの?

 あまりにもショックだったので、この事件をきっかけに韓国の子供たちの世界史学習事情を調べることにした。