『朝鮮日報』などの保守系メディアでは、米国の戦術核を韓国に再配置すべきだという主張も出ている。

アメリカからも「韓国核武装論」

 一方、米国でも、ロ朝協定を機に韓国の核保有を容認すべきだという主張が出ている。

 トランプ政権で朝鮮半島政策の実務を担当したアリソン・フッカー(Allison Hooker)元ホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア担当上級補佐官は、「北朝鮮とロシアの軍事同盟関係の復元が韓国の独自の核武装を推進する動因になり得る」とし、「韓国は独自の核武装に向かって進み続けており、もしかしたらもっと速い速度で進むという事実を排除できない」と述べた。

 安保シンクタンクの「ケイトー研究所」(Cato Institute)のダグ・バンドウ(Doug Bandow)上級研究員も、外交専門誌「フォーリンポリシー」に掲載した寄稿文で、「米国の対北朝鮮政策は失敗した」とし、「韓国独自の核兵器開発を『“次悪”の選択』として受け入れなければならない」と明らかにした。

 朝鮮半島の周辺には、世界1位の核弾頭保有国であるロシア(5580発と推定)と2030年までに1000発の核弾頭保有を宣言した中国、そして事実上の核保有国である北朝鮮(50発と推定)が布陣しており、このうち、ロシアと北朝鮮は「有事の際、相互自動介入」という軍事同盟に準ずる協定を締結した。

 ここに韓国でも核保有の主張が力を得ていて、91年に撤収された在韓米軍基地内の戦術核を再配置しなければならないという主張も出ている。

 朝鮮半島全体が時々刻々と核武装の泥沼に陥りつつある。