(舛添 要一:国際政治学者)
6月6日〜9日、EU(欧州連合)の立法機関である欧州議会の選挙が行われた。720の議席を比例代表制で争うもので、5年に1度行われる。議席は、人口に応じて配分され、ドイツが最大で96議席で、ルクセンブルクやマルタは最小の6議席である。
右派と極右が伸長
選挙の結果、右派や極右が過去最多の議席を獲得した。
第一党は、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)などが加盟する中道右派の「欧州人民党(EPP)」で186(+10)議席、第二党が、ドイツの社会民主党などがメンバーの中道左派「欧州社会民主進歩同盟(S&D)」で135(−4)議席、第三党が、フランスの「再生(RE)」などが入る中道リベラルの「欧州刷新(RE)」で79(−23)議席となっている。
これに対して、右派は、フランスの国民連合(RN)やオランダの自由党(PVV)などが属する「アイデンティティーと民主主義(ID)」が58(+9)議席、イタリアの「イタリアの同胞(FdI)」などが加盟する「欧州保守改革(ECR)」が73(+4)議席である。
左派は、緑の党・欧州自由連盟が53(−19)議席、欧州統一左派連合・北方緑の左派が36(−1)議席と、議席が減った。
中道勢力は3派合計で400議席を獲得し、過半数を維持した。右派勢力の伸張が目立つのに対して、環境政党は大きく勢力を減退させた。