今年6月6日、殉国者と戦没将兵を追悼する記念日で演説した尹錫悦大統領(Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
拡大画像表示

 韓国の排他的経済水域(EEZ)内に140億バレルに達する石油と天然ガスが埋蔵されている可能性が高いと韓国政府が発表した。

 予想されている埋蔵量は、石油は韓国が使用する4年分、天然ガスは29年分にあたり、その価値をお金に換算すれば2200兆ウォンに達するという。

 まさに降って湧いたような“朗報”なのだが、韓国社会の反応はなぜか冷たい。というのも唐突な明るいニュースの発表に、野党からは「逆風にさらされている尹政権による局面打開のためのショー」といった強い非難が飛び出し、信憑性まで疑われている有様なのだ。

【参考記事】韓国大統領が歓喜した「日本海に石油・ガス埋蔵」の一報、もし現実なら日本には不都合な4つの理由(JBpress 2024.6.6)

胸を張る大統領、冷ややかな国民

 6月3日、尹錫悦(ユン・ソンヨル)韓国大統領は就任後初の国政ブリーフィング(政府の政策や懸案を国民に説明するイベント)を開き、「慶尚北道浦項市の迎日湾沖に莫大な量の石油・ガスが埋蔵されている可能性が高いとの物理探査結果が出た」と明らかにし、「探査試錐計画を承認した」と発表した。

韓国政府が発表した日本海で石油・天然ガスが埋蔵されている可能性があるエリア(赤丸)。これらは韓国の排他的経済水域内にあるという(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
拡大画像表示

 計画によると、韓国政府は、今年12月からボーリング作業を始め、来年上半期中には最初の結果を導き出すという。そこで石油・天然ガスの存在が確認されれば経済性評価を行い、さらにそこで「採算性がある」と判断されれば、2027年か2028年から工事を始め、2035年から原油を生産する工程を始める。生産期間は計30年と推定されている。

 大統領府は「これは国民に希望を与えるニュース」と胸を張るが、韓国社会の反応は冷たいものだった。