ポーランドの首都ワルシャワの商業施設で大規模火災。ロシアの関与が疑われている(写真:写真:ロイター/アフロ)
  • 欧州各地でショッピングセンターなどへの放火や破壊工作、航空機を狙ったGPS妨害などが相次いでいる。
  • 各国当局などはロシアの関与を疑っており、北大西洋条約機構(NATO)との「欧露戦争」の前哨戦として「影の戦争」を仕掛けているのではと警戒を強めている。
  • 現地の報道などから、ロシアの関与が疑われる事件の数々を詳報する。(JBpress)

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 6月6〜9日まで、欧州連合(EU)加盟各国では5年に一度の欧州議会選挙が実施されている。右派の躍進が見込まれているなか、欧州各地では近頃、放火による大規模火災や、亡命外国人に対する襲撃、また民間航空機にも影響を及ぼしかねないGPS妨害などが頻発している。

 欧州各国の当局関係者は、各地で起きているこうした事象が、一見、関連性のない個別の事例のようでありながら、実際には「破壊工作」に該当すると指摘。背景にロシアが暗躍し、欧州に対して直接的な軍事行動を伴わない「影の戦争」を仕掛けていると、危機感を募らせている。

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 5月11日深夜、ポーランドの首都ワルシャワで、国内最大規模だったショッピングセンターで火災が生じ、ほぼ焼失した。およそ1400もの店舗が出店していた。翌日取材に応じた消防関係者は、火災の広がり方に「奇妙な点」があったと証言。現地のウェブニュース取材に対し、施設内の防火システムが無効化されていた可能性に言及した。

 現地報道によれば、主に衣料品を扱っていた同センターはポーランド国内の個人消費者だけではなく、国内および、ウクライナへの商品の供給源でもあったという。店舗の3分の1程度が、ベトナム人が運営していたとされている。