- 国際刑事裁判所(ICC)は5月20日、イスラエルによるガザへの攻撃が戦争犯罪などに当たる疑いがあるとして、ネタニヤフ首相らに対し逮捕状を請求した。
- ネタニヤフ首相はイスラム組織ハマスと同列に扱われたことに大激怒。イスラエルを支援してきた米英も反発している。
- ICCには米議員などから逮捕状を請求しないよう圧力もあったとされるが、屈することはなかった。そこには「正義」を追求しようというICCの決意が透ける。(JBpress)
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
昨年10月から続くイスラム組織ハマスとイスラエルの紛争をめぐり、国際刑事裁判所(ICC)は20日、ハマス幹部、並びにイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相に対し、逮捕状を請求した。ハマス、イスラエルの双方、そしてイスラエルを支援してきた米英も猛反発している*1。
ICCのカーン主任検察官は声明で、ハマス最高幹部のイスマイル・ハニーヤ氏や、同ガザ地区トップのヤヒヤ・シンワール氏など3人の幹部に対し、戦争犯罪及び人道に対する罪に関して刑事責任を負うと信じるに足る、合理的な根拠があるとした。シンワール氏については今年1月、欧州連合(EU)がテロリストに指定している。
ハマス側については、殺人や人質を取ること、強姦及びその他の性暴力行為、捕虜に対する拷問や非人道的行為などについて、戦争犯罪や人道に対する罪の疑いがあるとしている。
一方のイスラエル側については、ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃翌日の昨年10月8日以降、意図的な民間人に対する攻撃、殺害、また飢餓に陥らせることや、残虐行為や迫害などが戦争犯罪や人道に対する罪の疑いがあると指摘した。
ICCは声明の中で、イスラエルには自国を守るために行動を起こす権利があると認めたものの、「この権利は、イスラエル、並びにいかなる国家も、国際人道法を遵守する義務から免除されるものではない」とした。どのような軍事目標があったとしても、イスラエルがガザで行ってきた意図的な民間人の殺害や、飢餓を引き起こすなどの行為は犯罪であると断罪した。
その上でカーン主任検察官は、昨年から繰り返し、法を遵守しない者はICCが行動を起こした時に不平を言うべきではないと強調してきたと主張。今回の逮捕状請求に関して「(行動を起こす)その日が来た」と宣言した。
ハマス、イスラエル双方の罪に言及した上で、カーン氏はこうも述べている。