- ガザへの激しい攻撃を続けるイスラエルのネタニヤフ首相に対し、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を準備していると報じられている。
- 4月29日には米国務省が、イスラエルの5つの部隊で「重大な人権侵害」があったと発表。一部の治安部隊への支援が停止される可能性も出てきた。ヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人に対する虐待などが問題視されたとみられている。
- ネタニヤフ首相は猛反発をしているが、ガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地区における行き過ぎた暴力行為に対する国際的な批判は高まっており、イスラエルは急速に孤立している。(JBpress)
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
イスラム組織・ハマスとイスラエルによる停戦交渉が続く中、国際刑事裁判所(ICC)が双方の指導者らに対する逮捕状の発行を準備しているのではないかとの報道が続いている。イスラエル、および欧米の複数のメディアが報じている。逮捕の可能性があるイスラエル政府高官にはネタニヤフ首相も含まれていると見られ、同政権内では危機感が高まっている。
米ニューヨーク・タイムズ紙は4月28日の紙面で、イスラエルがガザ地区への人道支援物資の提供を妨害してきたことや、昨秋のハマスによる同国襲撃に対する過度な対応について告発される可能性があると報じた。複数のイスラエル当局筋の情報としている。オランダ・ハーグにあるICCは、ジェノサイドや人道に対する犯罪、戦争犯罪などを犯した個人を訴追・処罰する。
米NBCニュースは4月29日、ICCが「パレスチナ情勢に関し独立した調査が進行中」であり、現段階でこれ以上のコメントはないとしたと伝えている。
同裁判所は去年3月、ロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナの子供たちを不法にロシアに連れ去ったことに関与したとして、戦争犯罪の容疑で逮捕状を出している*1。
現在、ICCの加盟国・地域は124に上り、日本もその1つだ。逮捕状は加盟国や地域でのみ有効だが、逮捕状が出された容疑者は、海外での移動に制約が伴うことになる。イスラエルやロシア、米国などは加盟していないが、パレスチナは加盟している。
ICCによる正式な声明などがない中で、ネタニヤフ首相は4月26日、Xで「イスラエル固有の自衛権を損なわせる、ICCによるいかなる試みも断じて受け入れない。中東唯一の民主主義国家、並びに世界で唯一のユダヤ人国家の兵士や政府関係者の拘束という脅しは言語道断だ」「(ICCの判断は)野蛮なテロや理不尽な侵略と戦うすべての民主主義国の兵士や政府関係者を脅かす、危険な前例となるだろう」と強く反発した。
Under my leadership, Israel will never accept any attempt by the ICC to undermine its inherent right of self-defense.
— Benjamin Netanyahu - בנימין נתניהו (@netanyahu) April 26, 2024
The threat to seize the soldiers and officials of the Middle East’s only democracy and the world’s only Jewish state is outrageous. We will not bow to it.
Israel…