米大学キャンパスで燃え上がる「ガザ無差別虐殺」糾弾のインパクト
大統領選に影響なしと両候補は言うが、動き始めた国際社会
2024.5.1(水)
高濱 賛
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ネタニヤフ政権批判、国際世論を動かす
全米の大学でパレスチナ自治区ガザへのイスラエルの軍事行動を巡る抗議デモが広がっている。
コロンビア大学やUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)ほか20校近くのキャンパスで約900人の学生、教職員が逮捕された(4月29日現在)
(bbc.com/world-us-canada)
第三政党「緑の党」の大統領候補、ジル・スターン氏はワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)でデモ中に逮捕されている。
2023年10月7日、パレスチナ武装組織ハマスがイスラエル領に侵入、イスラエル人1410人を殺害し、204人を拉致している。
これに対し、イスラエル軍は空爆や地上軍の展開によってこれまでにガザ住民3万4000人以上を殺害した。
イスラエル軍の過剰防衛ともいえる行動に対し、国際社会からは「ジェノサイド」「無差別殺戮」といった批判が出ている。
しかし、イスラエル軍による殺戮は今現在続いている。
SNSを通じて共鳴した大学生たちは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権(挙党一致内閣)の無差別殺戮を弾劾、即時完全停戦を要求している。
まず東部アイビーリーグのコロンビア大学のパレスチナ系学生たちが立ち上がった。同キャンパスで4月18日、抗議集会を開いたのだ。
これをきっかけに他の人種の学生、教職員らが参加、構内に野宿する者も出ている。
パレスチナ住民弾圧に抗議するユダヤ系学生、知識人もいる。
このことは意外と報じられていない。そうしたスタンスをとるユダヤ系メディアもある。
(jewishvoiceforpeace.org/seder-campus/)
一方、ユダヤ系学生の一部からは「ユダヤ人だということでハラスメントを受けている」として「抗議デモは反ユダヤ主義を増長させるものだ」と反発する者も出て、キャンパスは一触即発状態になった。
大学当局の対応は様々で、コロンビア大学やUSC(南カリフォルニア大学)など私立大学は、キャンパス警察だけでなく市警まで導入して抗議集会参加者を排除。
学生側はこれに猛反発、緊張状態は今も続いている。
一方、UCLAなどの公立大学は、「言論の自由」と「治安秩序」を両立させるとして実力排除は避け、集会デモ、野宿を許している。
(カリフォルニア大学は、2011年11月18日、デイビス校=UC Davis=で起こった学生の抗議デモで、キャンパス警察が催涙ガスを使って学生を逮捕し負傷者を出したとして訴えられ、100万ドルの罰金を支払った前例があり警察力導入には慎重になっている)
(latimes.com/at-usc-arrests-at-ucla-hands-off-why-pro-palestinian-protests-have-not-blown-up-on-uc-campuses)
(aclu.org/uc-davis-students-reach-1-million-settlement-university-over-pepper-spraying-incident)