- スペイン、ノルウェー、アイルランドが5月22日、パレスチナを国家として承認すると発表した。
- 先の国際刑事裁判所(ICC)によるネタニヤフ首相らに対する逮捕状請求に続き、イスラエルは猛反発している。
- 欧州3カ国はなぜいま、パレスチナの国家承認を表明したのか。それぞれの事情を解説する。(JBpress)
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
スペイン、ノルウェー、アイルランドの欧州3カ国は5月22日、パレスチナを国家として承認すると発表した。28日付で承認される。昨秋以来、イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が泥沼化するなか、20日に国際刑事裁判所(ICC)がハマス幹部らとイスラエルの首相・外相への逮捕状を請求したことに続く、大きな動きだ。
米公共ラジオ放送NPRは3カ国の発表が「電光石火」の如くであったと論評した。しかし、この3カ国がパレスチナを国家として承認する可能性は、しばらく前から取り沙汰されていた。
「オスロ合意」のノルウェー、「二国家解決」への執念
ノルウェーのストーレ首相は22日の声明で、イスラエルおよびパレスチナ双方の市民が「それぞれの国で平和に暮らす権利を有する。二国家解決なくして、中東に和平は訪れない」と述べた。また、パレスチナという国家なしに二国家解決はあり得ず、「中東和平を達成するための前提条件」であるとした。
ストーレ首相はこうも指摘している。
「幾万もの人々が殺害され、負傷している戦闘の最中にあって、我々はイスラエルとパレスチナに等しく提供できる唯一の選択肢である政治的解決策を推進しなければならない。つまりそれは、両国が平和と安全の中で共生することだ」*1
*1:Norway recognises Palestine as a state(ノルウェー政府)
ノルウェーは30年以上前、長年対立の続いたイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)との間に恒久的な和平を目指した「オスロ合意」の舞台となった。当時ノルウェーは両者の仲介役を果たし、その後もイスラエルとの友好関係を保ってきた。
しかし昨年10月以降、多数の民間人の犠牲者を伴うガザへの攻撃については、イスラエルの戦闘行為が国際人道法違反であると糾弾してきた。ヨルダン川西岸や東エルサレムにおけるイスラエル人の入植についても、地域和平最大の障壁の一つであるとして、強く反対の立場を取っている。